夜間飛行

丸をください

♡雑感集2♡

最近嶽本野ばらの「それいぬ」を読みました。その中で、「彼、優しいから」と言い訳するくらいなら、潔く「私は理想に破れ、優しさしか取柄のないこんなカスを選んでしまいました、無念です」と敗北宣言するべきでしょう。と野ばらちゃんはいいます。確かに、好きな子には誰でも優しくできますからね。納得です。でも、これをやってしまうと、自分はカスと付き合ってるってわけ???という疑念を持ち始める女の子が急増してしまわないでしょうか。世の中、そんなに完璧な人間ばかりではありません。「彼/彼女は優しいから」ということで、諸々に目をつむり、手を打とうとしている大勢の人間が、この理屈に気づいたら発狂してしまわないか、わたしは心配しています。

 

 

ユーミンの歌が好きです。余白があって、聞き手に想像の余地を持たせてくれる。そしてわかりやすくて上品なフレーズ。「オレンヂのトンネルの中は横顔がネガのようだわ」「邪魔になると知ってて無理にここへきてごめんね」もシンプルだけど心をぎゅっと掴んでくる。きっと、数えきれないくらいの人たちが、掴まれているはずです。普遍的だけど、陳腐じゃない感じ。(浅い考察ですね)ネガなんて、わたしが赤ちゃんだった頃のアルバムに挟まっているのしか見たことない世代ですが、ユーミンの言いたいことが、わかります。

 

 

年金が前期分まとめて引き落としされることになり、わたしはそんな額払えないから毎月払いにして、と年金事務所に電話するべきだったのですが、それを怠ってしまいました。その結果、普通預金と卒業旅行用に積み立てていた口座からわたし的にはまあまあな額のお金が旅立っていきました。とても困っています。わたしが全部悪いのですが、この国の制度に腹が立っています。今後半年は年金を払わずに済むので、その分を積み立てに上乗せすれば取り返せるのですが、わたしなりにこつこつと貯めてきた数か月分の努力がふいになった気がして、悲しいです。それに、まだ月はじめなのに、口座がからっぽなのもやり切れません。今月は極力カードを切らずに、手持ちの現金でやりくりする!と決意していたのですが、ダメそうです。今月どこにも行けません。愚かです。

 

 

映画を観に行きました。王家衛監督の「若き仕立屋の恋」です。「花様年華」もそうなんですけど、この映画はチャイナドレスがたくさん出てきて、見ごたえがあります。映画に出てくる衣装を見るのが好きです。「ローマの休日」はネグリジェとドレスのシーン以外全部同じ服なのに、袖や襟のアレンジで雰囲気を別物に変えているのを見るのが好き。3時間くらいある「風と共に去りぬ」はたくさんドレスが出てくるので飽きずに見ていられます。特に序盤のウィルクス家の園遊会は南部のお嬢様がたくさん出てくるので面白いですし、レット・バトラーとスカーレットの新婚旅行のシーンは数秒ごとに違う衣装が出てくるので一時停止ボタンを何度も押して見ています。

 

 

本当に退屈で、何をやっても楽しくありません。楽しかった時の写真を眺めては、ため息をついています。自律神経のせいだと思っていましたが、最近は調子も良く、他の理由がありそうです。恐らくですが、今わたしが生きている世界が少し狭くなってきたのだと思います。日本の学校教育制度に則り、3年ごとに環境を大きく変えてきたので(小学校も途中で転校しているので、同じ場所に6年いませんでした)、大学も4年目になると、だれてきます。わたしの人生で一番楽しかったのが、この先これ以上よい時代が来ないんじゃないかと悲観するほどの年が2021年、つまり大学2年生なのですが、この年の充実度は、何もかもが物珍しくて新しかったことに起因しているのだと気づきました。今楽しいのは映画を見て、本屋でゆっくり背表紙を眺めて気に入った本を買い、ロリィタを着て散歩すること。それ以外は全部同じことの繰り返し。もう何をやっても2週目3週目なので面白くない。無駄に年をとり過ぎてしまった人の気分です。何やっても面白くない自分を見出し、わたしの青春は終わったと感じました。働きたくないので一生大学生がいいな〜と思っていましたが、この境地に辿り着いてしまった今、社会人になって世界を広げに行くのも悪くないな、と思っています。つまらない大人になりたくない。