夜間飛行

丸をください

昭和の女性

昭和の女性は今の女性よりもずっと美しいと思う。私は今日のネタを考えながら昭和歌謡をつべで聴いていたのだが、ちあきなおみレコード大賞で「喝采」を歌うのを耳にしてふとこう思った。昭和は長いので一概には言えないかもしれないが。

 

1972年のレコード大賞を受賞したこの曲だが、当時ちあきなおみは25歳である。ちなみに山口百恵は19歳。1972年は私の父がようやく生まれたか生まれないかくらいの時なので私が言いたい「昭和の女性」は今の70代くらいの方々のこと。彼女たちはどう見ても今の25歳19歳にはない雰囲気を持っている。服装やメイクのせいだけではないと思う。もしこれを見てくださっている方が昭和の女性の美しさを知らないのならつべか何かで「ゆれるまなざし」の動画を見ましょう。資生堂のCMなのですが女優さんが17歳とは思えないくらい綺麗で、今の化粧品CMとの違いに気が付くはずです。

 

 彼女たちが生まれたのは日本が焼け野原から出発し始めたころである。戦後の厳しさの中に生まれ、徐々に豊かになっていく段階で育った彼女たちには今の若い女性にはない落ち着きや迫力がある。そして明日が今日より豊かになることを信じていた時代の人々は明るく幸福な未来を夢見ていたに違いない。この世代やそれより少し上の世代が今の日本を築いたのである。

 

この社会の豊かさというのが今と昔の女性の姿の差に表れていると思う。かつては結婚も早く、また早いうちから仕事について働き始める人が多かったため必然的に精神的に成熟していく。一人前の大人であることが評価された時代である。少しでも大人っぽく自分を見せようと若い女性たちは思っていたのではなかろうか。しかし今は若い女性には「若さ、幼さ」が求められている場合があり、メイクも可愛いを作るための手段である。「大人女子」「大人可愛い」といった言葉が存在するくらい「可愛い」が理想化されており、その姿からはかつてのような成熟がみられない。

 

そして今の状況的に日本がかつての繁栄を取り戻すことは難しいように思える。これから豊かになってゆく国々を尻目に日本はどんどん貧しくなっていく。「誇るべき日本の技術」や「日本人の偉大さ」のような日本翼賛のテレビ番組ばかり放送し、日本人のプライドを繋ぎとめようとしているがその偉大な日本人はもういないのではないか。安定した仕事に就ける人は限られ、「一億総中流」は神話になった。輝かしい将来など思い描けないのである。その状況下で未来である「大人の姿」にわざわざなろうとは思わないのかもしれない。あるいは物質的には豊かな環境で食べていく苦労をなくしたのか。「食べていく苦労」の消失が「偉大な日本人」の消失に関わっている気がしてならない。

 

なんだか社会学のリアぺみたいになってしまったがつまりは今の若い女性はいつまでも「女の子」のままであり、「可愛くあること」が求められているゆえに落ち着いた強い雰囲気を持てないのではないか。それがかつての女性たちとの違いではないか。これは時代の流れなのでどうしようもないことではあるが、「大人女子」なんて言葉がある今、私たちはいつまでも大人になれないのではないだろうか。

 

今の若い女性について考えたが、自分も子供っぽい18歳である。