夜間飛行

新宿愛好家

ああ 卒業式で泣かないと

先日妹の卒業式があり、私はバイト遅刻ぎりぎりまで父と自宅で中継を見ていた。

 

最近の小学生の間では袴流行の兆しがあって、女の子の半分くらいは袴。色とりどりの袖や裾が翻っていてとても可愛らしい。登校の時間に妹が友達と連れ立って歩いていたが、とにかく可愛い。洋装よりも手間がかかり、子どもだけで始末ができないとかの理由で小学生の式服としての袴を悪く言う人が割といるが着たい子は着ていけばいいと思う。やはり晴れ着は華やかで鮮やかな方がお祝いの感じがする。黒や紺色のスーツも清楚だが私は袴のほうがふさわしいと感じる。

 

妹のクラスメイトには美容院で着つけてもらう子もいるらしいが妹には私が着せた。刺繍半襟を襦袢に縫い付けたり諸々の調整に前日の夜遅くまでかかったがその甲斐と母の助力のおかげでかなり綺麗に着せることが出来た。我が妹ながら上品にすんなりとしたよい着姿である。ぶっちゃけ美容院で着せてもらった子より綺麗だ。勝ち申した。壇上に上がって答辞的なものを読んだらしいからうまくいってよかった。妹の友達も綺麗に着こなしていて、二人の晴れやかなかわいらしさが双璧であった。褒めすぎ?タダで着付する素人たる私も妹のお友達のお母さんもミーハーで袴を着せているわけではなく、本格仕様なのだ。

 

子どもと着せ手の負担軽減なのか小学生向けのレンタル袴には襦袢を着せないことが多いらしい。ちょっと構造が分からないのだが中継画面を見る限り襦袢を着せないで伊達衿的な何かを付けているらしい。楽そうだが衿元が薄くて着崩れているように見えなくもない。楽なのだろうがやはり襦袢を着て襟元をきっちりさせた方が品よく見える。これは好みの問題だろうからお好みで選択すべきものであって私が口出しすべきところではないが。とりあえず妹を綺麗に仕上げることができてうれしい、よい卒業式に関われてうれしいという自己満がさく裂している。

 

実は私はこういう人間なので卒業式で泣いたことがない。

 

小学校の卒業式は卒業二日前にクラスで組織的ないじめがあったことが露呈し、葬式のようだった。卒業前日、隣のクラスが「○○先生ありがとう会」をサプライズでやっている頃、私のクラスでは加害者たち(クラスの約半数)への取り調べが続いていた。取り調べられなかった私たちは教室待機、暇すぎて教室の掃除をしていた。地元の中学ではない学校に進学することが決まっており、この面々と4月から顔を合わせなくてよかったので清々していたし、特段思い入れがない学校だったのでこの事件がなくても泣かなかったと思うが、やはり晴れやかな式にならなかったのは寂しい。この一連の事件で一番胸糞悪いのはいじめの加害者のくせに優等生づらしていた女子二人が担任にいじめを告発したことだ。この人たちも中学受験組だが、私の受験先を何も勉強しなくても合格できるとかなんとか失礼なことを言っていたのでかなり苦手だった。ちなみにそいつは馬鹿にした中学に落ちていた。そろそろ時効だろうしこの場で告発しておく。

 

中学校の卒業式は第一志望に落ちた直後だった。同じ高校を受けて合格した子の親が母に腫物に触れるように接してきたために母の機嫌が悪く、家庭の雰囲気が祝福ムードではなかった。落ちた張本人はなんとも思っておらず、むしろ併願先に行きたかったのでけろりとしていた。こういう精神構造だから泣かないのではないかと書きながら思ってきた。好きな男の子に第二ボタンをもらって、これで思い残すことなく女子校にいける、なんてのんきなことを考えていた。残念ながら泣くほど繊細な感情の回路を持ち合わせていないようだ。バカは風邪をひかないなんて言うが、バカは泣かないらしい。

 

高校の卒業式も泣かなかった。楽しすぎたのだ。良い友達と尊敬する師、納得のいく進学先に恵まれた私は笑いながら卒業した。いつでも会える友達といつでも帰ってこれる学校だったから泣く必要がどこにもなかった。小中が悲惨だったのでその分の幸福がここに巡ってきたらしい。これでコロナさえなければ完璧な卒業式であったが、それを追及するのはやめておこう。私は割と満足している。

 

こんな感じで私の小学校の卒業式は散々なものだったので、晴れやかに式に参加する妹を祝いたいのである。