夜間飛行

丸をください

着物を脱がせる

お久しぶりです。私は先日楽天で何枚か着物を買いました。一枚目は黒地に赤と白の菊。二枚めは生成り色に大陸っぽい牡丹。三枚目は紺地にこれもまた牡丹。牡丹柄好きなんです。全部布地いっぱいに大柄の花が詰め込まれた派手派手な素敵な着物。

 

美しい着姿には補正が必要らしい。着物に適しているのは寸胴なのでお腹にタオルを巻く。襟元がスカスカにならないように胸元にタオルを入れる。専用の補正グッズを使う。でもこれは正直美しくない。身体中タオルだらけで、幾本ものひもでぐるぐるに縛られてさしずめ大きな荷物の様だ。

 

外側から見たら整っているのかもしれないが、こんなに荷物か鎧のようにどんどこいろんなものが体に巻き付いていたら着物は息苦しく着るのに一苦労な衣服になってしまう。着物が斜陽産業の有閑マダムの趣味的な仰々しいものになったのはこの因習に近いような補正礼賛神話のせいもあるんじゃないかしらとも思う。

 

かくいう私も着物は詳しくはないのだが、着物は要所要所できちんと締めていけばそこまでの補正はいらないんじゃないかと思っている。(そもそも骨格ウェーブの常として着物向きな体格というのもあるが…)

 

和装ブラジャーなんてものは間違っても身に付けたくない。興味がある方はググってみるがよい。ダサいから。まじで。いくら平らな胸がいいといったってこんなものは絶対に着たくない。これもっとどうにかならないのかなぁ…

 

さっきも書いたけど補正は美しくない。別に見えないんだからいいじゃん、と思うかもしれないがそういう問題じゃない。なんかこう、もっと着物は情緒のあるものであってほしい。一個人の意見としては。袖口からこぼれる襦袢の色彩とか、ある趣味のもと選んで身に着ける帯や半襟とか、ただの衣服ではあるけれど細部にこだわりが満ちた衣服なのだ。

 

そんな着物の中身が幾本もの紐とタオルでできていたら興ざめだ(※あくまで一個人の意見です)。帯締めを解き、帯を解き、伊達締めを解き、紐を解き、そこでようやく華やかな長襦袢が見える。美しい着物というのは脱がせたくなる着物らしい。そして美しく脱がせられるにはぐるぐる巻きの補正は不要だろう。

 

なんだか谷崎潤一郎の読みすぎみたいな文章になっちゃった。余裕ができたら手直しする。またね!