夜間飛行

丸をください

好きなものが言えない

明日、わたしが取ってる某講義で「自分の好きな○○」というテーマの1分間スピーチを行うようで、そのためのメモを書くのがGWの課題として提示されました。まだ書いてないですが。

 

「1分間スピーチ」って小学生じゃん。わたしも小学校の帰りの会だか朝の会でしゃべらされたよ。今の小学生は知らないと思うけど当時はズームインっていう朝のニュース番組があってな、今でいうZIPみたいな立ち位置なんだけど。ZIPって言いながら両手で円?を作るポーズがあるじゃない。そんな感じでズームインにもズームインって言いながらやる決めポーズがあったのです。うちのクラス(多分4年2組)は「○○さんのお話にズームイン」って言いながら決めポーズを全員でやって、その日の当番がしゃべる、という流れになっておりました。今考えると本当に意味が分からないノリだったんだけど、当時はあれはあれで楽しかったんだよなぁ。

 

というわけで明日までのどうにか1分間スピーチの原稿を考えないといけない。正直こんな話を書いてないでさっさとやったほうがいい。でも!好きなものってあまり人に言いたくないからかろうじて言える好きの中から話せるものを選ばないといけなくてはかどらない。特に好きな音楽は絶対に言いたくない。大して話したこともない、まったく友達でもなんでもない、ただ同じ講義取ってるだけの人に言いたくない。

 

わたしはどんな音楽を聴くのって聞いてくる人を非常に警戒している。バカ正直に答えて苦笑いされたり冷笑されたりしてしばらく聞けなくなった歌がある。バイト終わりに音楽聴きながら帰ろ♡とうきうきで退勤したらだる絡みがうざい先輩に待ち伏せされて何聴いてるのか、おすすめは何か聴かれ、「○○さんって個性的なんだね笑」って言われて殺意に近いものを覚えたこともある。個性的でもなんでもいいから邪魔をしないでくれ。先週「ひとりで帰るのが好きなんですぅ~」つったじゃないか話聞いてたか。

 

もちろんこんな人に聴いている音楽なんて教えるはずもない。たしか吉幾三のDJミックスか何かのリンクを送り付けた記憶。当時のツイートを振り返ると彼が苦手すぎてバイトを在宅ワークに切り替えたりご飯に誘われたけど行きたくない!って嘆いてたりとかいろいろ聞いてきて個人主義のわたしハゲそうとかツイートしてて闇の深いものがたくさん出てきた。やば。ちなみに2週間既読無視しているようです。さすがに返事してやれよ。

 

どうやら好きなものへの否定的なリアクションがとても怖くて(特に何のポリシーもない人からのイメージや偏見に基づく否定)、そもそも個人主義だから積極的に好きなものを公表するのが得意じゃないようです。なんでそんなの聴いてるのって言われるのがすごく嫌。そんなのってひどいじゃない。

 

わたしの音楽の嗜好の核は椎名林檎大森靖子、そこから派生して東京事変ファムファタール、ZOC。そしてもっともっと根幹をなしているたくさんのシャンソン、フレンチポップス、ゲンズブール、サティ。この辺りは絶対にひとにしゃべれない。同好じゃない友達にも語れない。「言いたくないって言ってるくせに書いてるじゃん」って突っ込まれそうだけど、自分のフィールドで好き勝手に文章を書くのと相手の反応をうかがいながら愛を語るのは別物だからね。このほかの好きな音楽はまだ同好が見つけやすいしいい意味で今っぽい普通っぽい(普通っぽいは失礼な言い回しだね。偏見がないが正しいかも)のでまだ言える。Cody leeとか。

 

特に大森靖子の歌は誰かにおいそれと好きだと言いたくない。この痛みに全力で共感できる子がひとりで、自分のイヤホンで聴くもの、大事に抱きしめていきたいものだと思っている。ぎゅっと抱きしめて、大事にしまっておきたい部分を明るみに引き出して晒す趣味はないのだ。わざわざ心の一番やわらかい部分に刺さるものを差し出すことはしたくない。

 

聴いている音楽というのはしばしばその人のキャラクターとともに語られがちである。以前友人たちと「彼氏が聴いていたら嫌な音楽」、逆に「こういう音楽を聴いている人が好き」という話をしたことがある。(ちなみに需要ないですけどわたしはテンパレイを聴いている人が素敵だと思います。イメージです。)で、満場一致で「いつも洋楽をジャカジャカ聴いている癖に失恋するとワンオクとバックナンバーを聴いて己の境遇を重ね合わせて泣く人」が嫌われていた。これもう「聴いてほしくない音楽」ではなくて「こういうタイプの人が嫌」になっているのだが激しく同意するしかない。普段洋楽聴いているんだから失恋したときも洋楽で泣いてよ。行き場のない感情の昇華の時にだけ母語の歌に頼るってわけ?それちょっとずるくない(?)世の中の邦ロック愛好者に失礼じゃない(?)

 

ああ、もうどうしよう。本当に明日何を話せばいいんでしょう。わたしの核心を出すことなく、ほどよく自分らしくてネタ感がある話題。この分だと本と映画も無理。マンガも無理そう。なんて話題の引き出しが貧しいんだ。やっぱり食べ物の話が無難かな…旅先のバスに置き忘れた野沢菜漬けを執念で取り返した話とかすれば大丈夫かな…